海外の採用責任者インタビュー Vol.2
海外現地の採用の責任者が語る、
海外で活躍するグローバル人材

NIPPON EXPRESS (SINGAPORE) PTE LTD
HR, GA, Facility & Security (Head Office) General Manager
鈴木 幹彦

大学卒業後、日系精密部品会社に入社、以後今日まで一貫して人事総務畑を歩む。
1999年、当時勤務していた上記日系精密部品会社のシンガポール現地法人に駐在員として出向、2007年、現地採用として商社系物流会社に転職、2014年、シンガポール日本通運へ現地採用にて転職して現在に至る。シンガポール在住15年、妻、長男、長女の4人家族。シンガポール永住権保持。

今日は日本人として海外で働くということについて、採用側とご自身海外で転職をされているその両方の立場からお話をお伺いしたいと思います。
まず、最近よく言われている「グローバル人材」とは、どういう人のことだと思われますか?

一般的にグローバル人材と言うと、世界を股にかけて活躍する人材というイメージがあるかと思います。
それも間違ってはいないとは思いますが、私が考えるグローバル人材は、一言で言うと、その土地や地域の文化や慣習を尊重しながら、自身の意見・主張をはっきりと伝えられる人材ですね。どうしても日本人は暗黙の了解というところに頼りがちなんですが、自身の意見・主張をはっきり伝えられることが大事なポイントだと考えてます。しっかりとした意見・主張を伝えるためには、しっかりとした情報収集と、論理的に考える癖をつけることが大事だと思います。そうでないと、自信を持って意見・主張も出来ないでしょうから。
一方、「日本」=「グローバルでは無い」ということでもないんですよ。きめ細かさとか、挨拶や気遣いなどの日本人が得意とする部分を捨てないようにもするべきだとも考えています。

これまでにたくさんの方を採用されてきたと思いますが、いちばん記憶に残るエピソードを教えてください。

特別なエピソードはありませんが、あえて挙げるとすると、新卒の候補者と面談したときに「私はワークライフバランスを重視するので残業は絶対しません」と宣言されたことですね。決して長時間労働するわけではありませんが、働いたこともないのに、ワークライフバランスを重視という発言には驚きました。あふれる情報がそのような教科書的な考え方をさせてしまうのでしょうか?色々なことに挑戦するとしたら、時間がいくらあっても足りないと思うのですが…。

採用側の立場から、またご自身が海外で転職されている立場から、今後海外転職を考える求職者に求めるものがあるとしたら、どのようなことでしょうか?

英語を駆使する、または、現地語を習得し、世界、地域を股にかけて活躍するというような華々しいイメージを持たれている方が多いかと思いますが、現地採用で生活していくことは、そう容易ではありません。何にでも挑戦し、困難にも負けない強い志が大事だと考えます。自身をある一定の殻に閉じ込めてしまうと、チャンスを掴むことが出来ないと思いますし、困難が当たりまえと考えて、挑戦していくことが大事です。

これまでの採用での、成功例や失敗例はありますか?

人事に携わるようになって以来の持論なんですけど、会社と従業員の関係はワインの好みに例えることができると思います。
ある会社は、フルボディの赤ワインを好み、ある会社はドライな白ワインを好むというようなことがあるかもしれません。そのなかで、候補者は、フルボディに近い熟成された赤ワインの方や、フルーティーな白ワインのような方もいらっしゃいますよね。どちらもそれぞれの良さやうまみがあるわけです。それで、どのワインを飲んでおいしいと感じるかは、つまり、お互いの好みがうまく合致するかであり、またお互いが味覚の幅を広げたり、料理に合わせて好みを変えることができるかということなんです。その意味では、採用の成功・失敗は採用時にあるのではなく、採用後にどう候補者と関わっていくかということにあるのかな、と考えています。

なるほど、ワインに例えていただくとよくわかります。それでも日本での採用と、海外での現地採用には違いってありますか?

いちばんの違いは、日本では新入社員が4月に一斉入社することですね。海外では、もちろん、新卒で入社する方もいますが、一斉入社はありません。よって、同期というようなな考え方もありません。

個人として会社や仕事にどのように向き合うかが重要になってくるんでしょうね。では今後、御社やシンガポール、あるいは海外で必要とされるのはどういう人材になりますか?

日本は少子高齢化で国内市場が縮小傾向なので、多くの企業が海外市場を開拓すべく進出しています。逆に進出先の国から見てみれば、雇用創出に寄与することが期待されてるわけですが、いずれは政府は現地雇用維持、外国人就労の規制に向かうのは自明のなりゆきで、シンガポールも同様の路線を走っています。
そのような状況のもとで、現地人材には、日系企業が現地化を進める上での経営幹部候補となれる人材が必要です。一方、日本から海外に職を求める方々へは、そのような現地化の波にも耐えられるような、自身の得意とするスキル等を身につけておくことが大事であろうと考えます。

最後に、海外で働きたいという夢を持つ日本の若者に一言お願いします。

人生を送る上で不可能なことはありません。月に行きたければ、その志と挑戦する行動力があれば叶うはずです。夢を大事に。

本日はありがとうございました。